処世と修養の講話
全文 146,391字・読了の目安 約293分(15節)。青空文庫の公開テキストを、縦書きの原文のまま読めます。
コマ7
小小引(本書編纂に就て)靑淵先生五十餘年間の演說講話談論等は多くは載せて龍門雜誌に在り又其成書として刊行せるものは靑淵百話靑淵脩養百話論語と算盤村莊小言等ありて其言論の豐富にして書册の浩澣なる之を一讀せむと欲するに於ては數月の日子を要せざるべからず余や先生の知遇を辱ふする茲に年あり常に以爲らく先生の言論は東西古今の哲理を經とし實踐躬行の經驗を緯とし錦繡織り出して咳唾玉を成すものなり宜しく今日の靑年子弟をして廣く之を讀みて智德兼育の益を得せしめ併せて異端に感溺するの危險を救はむと欲し遂に微力を量らず其書を熟讀玩味して或は拔萃し或は簡約し拮据年を重ねて脫稿するを得乃ち先生の閲覽引
コマ8
に供し且つこれを世に公にして以て誘掖の一助に供せむことを請ふ先生幸に余の企望を斥けずといへども百事多端の故を以て全部を熟讀修正せらるゝに至らず故に若し筆至らず文拙くして苟しくも原文の眞意を誤るものあれば其責め總て余の辭せざる所なり覽者請ふ之を諒せよ編中まゝ東西古今賢哲の格言或は俚諺等にして先生の言說を契合するものを取りて之を駢記せしは蓋し仁人君子の言性情自然の語古來今往皆其致を一にして世道人心に益あるを以て微意に外ならず本書の編纂に就きては余の友人にして慶應義塾大學〓授赤羽俊良君の助力與つて多きを以て特に記して感謝の意を致す大正十一年二月編者識者識修養訓話第一編第二編第三編第四編第五編第六編第七編第八編處世國家、社會實業、經濟道德、功利學問、〓育立志、修養處事、接物慈善、救濟の道(目次)至自九六)至九上)至自至自至自至四三四(至)至經濟功利〓育修養接物救濟女子、家庭
コマ9
(自四七至五九六)(第九編第十編座右銘、家訓一言集修養訓話處世の道子爵澁澤榮第編國家社會○國家と云ひ社會と云ふは、形式上の差で、其の内容には異なる所はな社會は人の集合團體の名で、其の土地、其の人民を、政治的に組織したのが、國家である。所謂國家ナル團體ハ人爲ニ因テ成レルモノナリ。○國家の始は一私人から起るが、生命財產の安全なるは國家の保護ある其の内容には異なる所はな其の人民を、政治的に組織
コマ11
あるから、あるから、古の王道の如きは、古人の夢に過ぎない。仁義道德は、時代に由て異るものであると云ふ。併し人間行爲の標的たるべき仁義道德が、時代に由て易るとすれば、則ち是れ當にならぬもので、尊ぶに足らない。元來仁義道德なるものは、千古不易の眞理なれば其處に大なる權威もあり、價値もあるのである。若し爲政者が、仁義道德を顧みずして、唯權謀術數是れ事とし、己れの時代だけ無難にやつて退ければよいと考へるならば、それは誤りである。古の王道の如きは、一人溝壑に溺るるあらば、己れ之を陷れたと考へて、何處迄も王道を行ふが、爲政者の德義である。左なくば、人情は次第に薄くなり、風紀は弛み、甚だ憂慮すべき結果を將ち來たすであらう。△元武帝。惟レ王、國ヲ經ムル德政ヲ先ト爲ス、惟レ帝、民ヲ養フ、嘉糓ヲ本ト爲ス。古ノ聖王ハ、一人モ飢エ寒ユレバ、顧ミテ身ユ責ム、今百姓貧シキハ則チ朕ガ貧シキナリ、姓富ミナバ則チ朕ガ富メルナリ、未ダ百姓富ミテ君ノ貧シキコトアラズ。△孟子日。德ヲ以テ仁ヲ行フ者ハ王タリ。△葡子曰。馬、輿ニ駭カバ則チ君子、輿ニ安ンゼズ人、政ニ駭ケバ則チ君子、位ニ安ンゼズ。○萬機其の宜きに適ひて紀綱大に張り、而して善良なる政治が各方面に行渡ること、例へば人體に血液の流動するが如くならねばならぬ。△三代實錄。聖人世ヲ濟フ、物ヲ便ズルヲ以テ先ト爲ス。明王民ヲ馭ムル、宜シキヲ制スルヲ以テ貴シトス。〇人には四肢五體あるが如く、國家にも亦四肢五體が具つて居らねば、滿足の國家とは謂はれぬ。宗〓、正義、協議、財政ハ、國家ノ四維ナリ。蓋シ其ノ一弛ムトキハ、國家國家にも亦四肢五體が具つて居らねば、財政ハ、國家ノ四維ナリ。蓋シ其ノ一弛ムトキハ、國家
コマ12
トシテノ存立ヲ危フスベシ。○國民たるものは爲政者の善惡に關らず我が義務責任を盡さねばならぬ、其の盡すべきを盡し、然る後爲政者の非を鳴らすならば、則ち以て理ありと爲すに足るが、妄に罪を爲政者に負はさんとするが如きは、決して善良なる國民と稱することは出來ぬ。△トルストイ曰。萬人皆人道ヲ改革セント欲シ、而カモ一人モ自ラヲ改メントスル者ナシ。△アヂソン日。公衆ハ頌讚スベキ傾向ヲ有セズシテ、寧ロ誹謗スベキ傾向ヲ有ス。○家庭の集合したるものが、一〓となり、一郡となり、一國となるのであるから、其の淵源に遡り、主人妻子從僕に依り形成されたる一家庭なる小政府を完全にしなければ、理想的國家を建設する事は出來ぬ。△スマイルス曰。邦國ノ隆昌ハ、人民各自勉强ノ力ト、正直ノ行トノ總合セルモノナリ。一郡となり、一國となるのであるから、邦國ノ衰退ハ、人民各自懶惰ニシテ自ラ私シ、及ビ醜惡ノ行ノ集合セルモノナリ。○何人も其の住する一國一〓に對しては之を我が物であるとの覺悟を持たねばならぬ。·△トルストイ曰。總テ此世ニ生レタル人間ハ、恰モ空氣ト日光トニ由リテ生活スルガ如ク、其ノ土地ニ由リテ生活スル權利ヲ有スルコトハ、此レ自明ノ眞理ナリ。○總て人は其の生存しつゝある國に對し、自然に固有の權利と義務がある。此の權利義務は、何人が附與し、何人が命令する譯でもないが、國民として生れた其の日から、身邊に附隨して居るのである。る。△西哲。國家ハ何ヨリ成ルカ、曰ク、スル所ノ人々ヨリ成ル。△カント日。人ハ生涯盡スベキ義務ヲ有ス。曰ク、我ガ義務ヲ知リ、又我ガ權利ヲ知リテ、能ク之ヲ保全△カント日。故ニ苟クモ此ノ義務ヨリ免レントスルガ如キ
コマ14
〇一身一家は、總て其の國家社會の一分子なれば、其の一擧一動、皆國家社會に影響し、一身一家だけで濟むものに非ず。されば其の失敗は、累を國家社會に及ぼし、死せばとて其の責を免る能はざれば、一私事なりと思ふて、得手勝手の振舞をしてはならぬ。△コプデン曰。一國ノ利害ト一致シ、一國ノ利害ハ、一國ノ利害ハ、萬國ノ利害ト一致○國家をして健全なる發達を遂げしむるには、其の國民たるものが、商工業に於ても、學術技藝に於ても、外國と拮抗して、必ず勝つと云ふ剛毅の意氣がなければならぬ。眼中ニハ困難ナシ。眼中ニハ困難ナシ。○凡そ國家に必要なるものは、種々なる勢力の均衡である。勢力の均衡に依て、其の國の元氣が保つて行かれるのである。例へば政治上の勢力〓育上の勢力、軍事上の勢力等、總て平均しなければ、其の國の元氣が振はぬものである。而して此の元氣を振興するには、尙一つの勢力がなければならぬ。それは何であるか、卽ち實業上の勢力である。國は此の實業上の勢力に依て生活するものである。△ブルンチユリー曰。施政ノ權柄ナルモノハ、徒ニ各特殊ノ權利ノ集成統合セルモノニ非ズ實ニ一點ノ中心ニキ積盈滿セル國權ノ分レテ、面ニ於テ、其ノ勢力ヲ發揮セルモノヲ謂フナリ。○政府の役人でも、國會議員でも、實業上より見れば、恰も影のやうなもので、皆實業の反照に依て立ち、且つ其の餘光を負ふものである。もので、
ここまでで全体の約2%。残り約287分は、名著伴読で続きから読めます。分からない箇所は、その場で著者に聞けます。
出典: 青空文庫(渋沢栄一『処世の道 : 脩養訓話』)。本文は著作権の保護期間が満了した公開テキストです。
名著伴読は長い作品を一度に読み切れる長さへ区切っています。下の内訳はその区切りです。
| 節 | 見出し | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | コマ7 | 約20分 |
| 2 | コマ29 | 約19分 |
| 3 | コマ48 | 約20分 |
| 4 | コマ66 | 約19分 |
| 5 | コマ83 | 約19分 |
| 6 | コマ100 | 約20分 |
| 7 | コマ119 | 約19分 |
| 8 | コマ137 | 約20分 |
| 9 | コマ161 | 約19分 |
| 10 | コマ181 | 約20分 |
| 11 | コマ198 | 約19分 |
| 12 | コマ215 | 約20分 |
| 13 | コマ233 | 約20分 |
| 14 | コマ259 | 約19分 |
| 15 | コマ284 | 約20分 |
この問いに、渋沢栄一はこう書いています。下はすべて原文からの逐語引用です。
編中まゝ東西古今賢哲の格言或は俚諺等にして先生の言說を契合するものを取りて之を駢記せしは蓋し仁人君子の言性情自然の語古來今往皆其致を一にして世道人心に益あるを以て微意に外ならず
名著伴読では、こうした箇所を渋沢栄一の一人称でつなぎ、必ず原文の引用を添えて答えます。引用は原文と一字一句照合したものだけを出し、触れると原文のその箇所へ移動します。AI による再現であり、本人の発言ではありません。
名著伴読は青空文庫および各著者の関係団体とは無関係の非公式アプリです。